嵐の舞踏会が始まる

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「“夜”と呼ばれるテログループの話です。対策としては学園生の能力の向上がいいと思われます。もうすぐ学園生による試験が始まるのでそこに乗せて騎士を派遣し戦闘訓練を組み込めば少しくらいは対応できると考えています」 対応策を上層部に進言するクロウはその返答を待った。 彼らにとっては彼女の存在すら疑問に感じているのに対し、そんな正体もわからない人間の対応を了承することもできない。しかし王の娘を救ったことは事実である。そこに葛藤が生まれていた。 もしかして罠なのでは、魔族のいいように進んでいるのではと考えているが、それならば自身を魔族のハーフだとは言わないのでは、そういった話し合いが彼女には聞こえないように行われていた。しかし、王はそんな話し合いを無視していた。 「それでいこう、そなたの意見も参考にして表部隊を動かそう。裏部隊の方はテロ組織の捜索及び排除に当てるがいいか?」 「それでよろしいです。では私は学園に帰ります」 そういって彼女たちはその場を後にした。彼女のいなくなった場所では何とも言えない空気だけが残っていた。 学園に帰ってきて最初に訪れたのは学園長の部屋だった ここまで、どんな揉め事が起きようと顔を出さなかった学園長である。 「問題は済んだのか、マヤ」 「ええ、大体片付いたわ――ルシファー」 「全く、俺の気も考えろよ、まあ監視役のシンシアがいるからお前自身問題を起こせると思わないが……俺の責任に問われる真似は起こすなよ」 「全く、堕ちた天使も大変ねえ――」 あんたのせいだ、と連呼している彼だが、無論彼もこの世界の人間ではない。 彼女と同じではないが、似ているといえばアロウと似ているのかもしれない。 彼はもともと天界にいたが不祥事の責任を取らされた結果冥府へ派遣された七悪魔の一人である。 この世界に魔族や魔王がいるが彼に勝てる悪魔はいないほどの実力を持ち合わせている。 そんな悪魔がなぜここにいるのかといえば、アロウと同じでクロウの監視役である。 何故彼女にここまで監視役がついているのかといえば、前回送った転生者が世界を滅ぼした実績を冥府の使者は持っているからだ。 その世界もなんとか持ち直したが、人類は滅亡の一歩前を歩き、以前滅びに向かっているからである。最近の噂では新人類が生まれたとか聞いたことがある。 そんな二の舞を起こさないために彼らはこの世界へ来ているのだ。
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