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居眠りを瞑想と言い訳にするクロウもどうかと思うが、それを世間一般的である常識にするのもどうかと思う。そもそも、ここで比喩した瞑想が世間一般的に居眠りのいいわけに使われているわけがない。使っているのはクロウ本人だけだ。
「ひどいですよ、大陸の修道院の方に謝ってください!!」
大陸の修道院――つまり、シスターである。
シスターとは、神聖力を多く宿している代わりにそれを力に変換できない者を指している。彼女たちの仕事は主に、傷の治癒であるが普段は、神の祈りを(それを瞑想と呼ぶ)行い、神聖力を高めている。シスター達は仕事で瞑想しているのであってそれを居眠りだと誤認するのはいささか彼女たちにも失礼だと彼女は感じていた。
「ならば、居眠りの言い訳に使うお前が謝れ」
「はう!!」
ペンをクロウに指して魔法魂を飛ばす。それは的確にクロウの眉間を当てた。コーンという華麗な音を立てて彼女はまたもや机に伏せる。そして当たった眉間をさすりながら小さく泣き崩れた。
「い、痛いです。暴力反対なのです!!」
「では、貴様は私の――というかほとんどの授業で居眠りをおこしているそうだが、それは教師に対しての暴力だといえないのか? ああ!?」
担任は怒りながら説教をする。周りの生徒たちはこれを一切気にしない。なぜならこれが普段から起こっている日常だからだ。
「先生、クロウさんに構ってないで授業を再開してください。ただでさえ、他のクラスより遅れているのですから時間を取り戻す努力をしてください」
「ああ、じゃあ、クロウは後で説教するから会議室まで来い」
「うぇーーぇん!!」
いつもの事だが、嘘泣きのように机に伏せ、そして居眠りを再開させるクロウ。それを見て担任はため息を吐いた。
「はあ、アロウ姉よ、もう少しお前の妹を何とかしてくれよ」
急に話を振られた姉――アロウ・クウェルフト・シンシアはキリっとした顔で答える。彼女の机の上には国語の授業なのに数学の参考書が置かれていたが、担任である彼女はそれについては無視した。
「すみません、妹の病気は既に末期レベルなので、手遅れです。後、自習に集中したいので今後は話しかけないでください」
妹が怠けに特化しているが、姉の方は勤勉に特化しているため話しかけても無視される。姉妹そろって似ているというか、ダメというのか。担任の呆れ顔が目に浮かぶ。しかしこれは既にこのクラスでは日課なのだ。
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