始まりはいつも突然やってくる

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「はあ、もう私、このクラスの担任やめたい」 それでも彼女はこのクラスの担任を続ける。何故なら先ほどの愚痴も今日で既に三回目なのだから。生徒もそんな担任とこのクラスの日常に慣れてしまっている。 そんな日常を過ごしている間に、時は流れていった。 やっとのことで授業の終わりを示す音がなる。この音をこの世界では神様が鐘を鳴らすというらしいが、みんなは既にこれを勝手に解釈し鐘鳴りといい、そして最終的に“カミナリ”というようになった。 「ああ、やっとカミナリが鳴ったよ、これで授業終了だぜ」 所々で授業の疲れを癒す生徒の中、担任の声が飛ぶ。 「寮が近いからって帰り道で寄り道とかするなよ、後、最近痴漢被害が多いので女子はきを付けるように。それと――マヤは説教があるので残っていろ、絶対に帰るなよ」 「先生、夜遅くに家に帰るのは痴漢被害にある確率が高まるので危険ではないでしょうか?」 至って正論を口にしたつもりのクロウだったが、担任はそれを無意味に否定する。 「お前は痴漢にあわないから関係ないだろ」 まるで女の子として扱われていない発言と教師としてどうかと思う発言だが、彼女はそう言われる由縁もあった。 「ひどい、私もか弱い女の子なのに」 どこがだ!! と、クラスの全員が心の中で突っ込みを入れる。一瞬だけクラスの心が一致した瞬間だが――何を隠そうか、彼女はこれでもクラス内では体術戦に関して成績は一番だったりする。つまり、そこらに存在している男子よりも強い女子、イコール、格好良い女子として有名なのだ。無論このクラス内での話である。クラス外にはこの話は広まっていないし、そもそも可憐な少女として広く知れ渡っている少女である。同じクラスになった時点でそんな妄想は打ち砕かれてしまうのだが。 けれども、魔法技術と魔法戦闘に関してはそこまで成績がいいとは言えないのでこのクラス最強であるというわけではない。 それでも、彼女の成績が優秀なのはそこだけではないので、彼らも何も口出さないし、彼女に喧嘩を売ろうとは思わない。 このクラスにそんな無謀な阿呆と馬鹿な戦闘狂などはいないからだ。 クラスが平和なのは彼女の力よりもクラスの人間が平穏な正確なのだからだと思う。 「ああ、また説教だよ、疲れるもん」 ため息混じりに彼女は愚痴る。そんなことになるならば授業中に居眠りなどしなければいいのに、と思う。しかし、彼女には理由があった。
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