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「リア!こっちおいでよ」
「リアさんこっち!」
「ッあ…は、はい」
栄志と惣の呼び掛けに反応したのは―
しかし。
俺の目に視線を合わせたのは
「ハックション!」
『…』
…クシャミした方だった。
『…あぁ?何ガン垂れてくれてやがるんスか…桂消防司令長…喧嘩売ってんスかゴラ…』
「え、デジャブ?ガン垂れても喧嘩売っても無いよ…それに僕は只、君がまた無理矢理連行されて来たんだろうなぁって…」
『あ゛?同情か?テメェ…良い身分だなこの厠野郎…』
「ええ~…?良い身分じゃないけど一応…それなりに皆の上司なのに厠野郎って……それに…な、何でだろう何時も…その…デジャブ~!な軽くも無い重いジャブが凄く胸にズシンと響き渡って―…あれ?聞いてない」
俺は焼酎の氷を指で回しつつも食い物選びを。
『悠伍郎。こ…[今宵のエグい程美味い定食]頼まぁ。いい加減…定食名変えろ』
全メニュー名も。
「嫌や」
居酒屋新鮮組の店長であり俺の悪友でもある中園悠伍郎は裏口から姿を見せていた。
『[しばかれたなかったら食え]は一体何の料理だった。名から想像出来ねぇ』
「叩き胡瓜」
『お前…頭エグい』
ガックリと項垂れてた金ヅルを中岡達が熱烈に歓迎し始めた事に鼻を鳴らし。
栄志がズレて俺との間を空けた所にオズ…と座った女を見る。
『ん。メニュー。何食う?』
「えと…何見とんねんコラを」
「プ…はいよ」
『り…料理の事だよな?』
「は、はい」
顔を上げ、はにかみ頷く小さな頭を撫でた。
「あ~ッ!土方君!リアに触らないでくれないかい!?栄志ッ!土方君を止めないか!」
「五月蝿いですよ。ハゲたいんですか」
「後半部の意味が不明!」
目敏くも離れた所から届く牽制をせせら笑い、これ見よがしに頭を撫で捲ってやった。
「やめてぇ!リアが妊―」
『するかよ!俺はどんな手してんだ!』
「ハックション!」
『桂菌撒くな財布置いて帰れ』
「鬼!」
ドッと皆が笑うも…隣でキョロキョロと。
分からねぇなら教えるつもりは
「リア、隼人さんに触られたら妊娠しちゃうから気を付―」
『吉田消防副士長…次の訓練でリアル49マル(要救助者)出ちまう可能性があるぞ。だが安心だ…救急隊も居る…』
「な…何てね?スンマセンッシタ!冗談であります土方司令補」
『ロープ渡りラッシュ』
「鬼エグい人だ…」
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