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隣の頭を越しその隣へ、青ざめた栄志の頭へと腕を伸ばし髪を掻き混ぜる。
「!?」
「ッまた餓鬼扱いして…やめて下さいよ~。ハハ!リアが吃驚しちゃってるし」
吃驚っつうか。
伸ばした俺の腕の下で縮まって固まってるっつうか。
『あぁ…悪ぃ』
接近し過ぎた身体を離すとあからさまに脱力したのが分かる。
「ぜ、全然!気にしやんとって下さい。ど、どうぞ栄志さんを苛めて下さい…」
『苛め…?何だそりゃ』
「お待っとうさん」
「うわ!美味しそうですよ隼人さん!いっただきま~す!」
「惣、デザートあるさかいな」
「やった!」
餓鬼丸出しの惣に苦笑した俺も悠伍郎が運んで来た料理を食い始める。
「美味しい!ご飯に合う!」
『あら煮って飯進むよな…里芋にも味が…』
……俺は手放しで美味いなんざ言ってやんねぇけど―…
「苛めてだなんて酷いよリア」
「ふふッ…けど栄志さん…何や嬉しそう」
「嬉しい訳無いでしょ?地獄の訓練宣告されたんだよ?鬼に」
「そない…きついん…?」
「きついってモンじゃ…死ぬ気でって…こういう事?ってさ…ねぇ…リアもやる?」
「えッ…出来るかな…」
「直ぐ泣いちゃうでしょ」
「………泣かんもん」
「アハハ!凄い間。絶対泣くよ…だってさ、俺達も泣きそうに…まぁ、マジで泣く人居るし」
「ほんまに!?」
「ほんとほんと!でね―…」
小声で話していた二人の声が、周りの騒々しさに負けず劣らずデカくなり始めた。
「仲良しさんですよね~…」
『…あ?』
今までひたすら食うに徹してた惣に首を巡らす。
「…栄志と桂司令長は同郷で、しかも家族ぐるみの付き合いがあったから仲良しさんですが」
『アレ仲良しか?』
「仲良しですね」
壱があら煮を…壱なりの美味そうな顔で食いつつ同意した。
「司令長がこっちに来た理由は一つですが…誘われたからって素直に希望出す栄志も司令長が好きだからでしょう?」
『…さて、な』
「桂司令長は…あ、つい未だに桂司令長って言っちゃいますが…新堀司令長は松湖さんにベタ惚れでしたから…ねぇ壱君?」
「結婚して更にそれは加速しただろうな」
「はい。京都でも名家の新堀家に婿入りなんて…流石に直前はマリッジブルーってましたが」
『男がマリッジブルーってよ…気持ち悪ぃにも程があったぜ。頭から謎のキノコ生やしてよ』
「図鑑に載ってませんでした」
「桂菌です!」
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