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「本当だねえ、みな気味のわるいくらい同じ面構えしてるねえ。」
そういうとキセルをとりだしまるで見せ物小屋の獣でもみるかのようにぷかぷかやりはじめた。
「まあ、皆差異はあれどやることはあまり変わりませんからね。同じような面構えにでもなるってもんだよ。」
「ふうむ、そう考えるとそうだねえ。おや、あそこの女性。線路に落ちそうだよ。ひかれたらたまらないだろうねえ。」
「どれどれ、ふうん彼女は生きたそうな顔してるかね。」
二人は眉間に皺をぎゅうっと寄せて女性の顔をじっと見る。
「生きたそうな顔してると思うね。あの悲しげな顔を見てごらんよ。」
「君、生きたいという顔と死にたくないと思う顔は違うよ、君。」
「じゃあ助けないのかい?」
嫌に強い日差しの中語らう。
こんな世界には似合わない程の光だ。
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