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梅雨の季節が訪れていた。そんな中、久しぶりの晴天になったお昼休み、晶子と朋美、そしてイザベラの三人はいつもの屋上でお弁当を食べていた。
「ねえ、晶子。今度、次期生徒会長の選挙があるの知ってる?」
朋美が真ん中にいる晶子に話題を提供した。
「うん、知ってる。学校新聞で見た」
「その生徒会長の選挙に、朋美が出るでありますか?」
晶子の右隣に座るイザベラが興味を持った。
「まさか。わたし、生徒会の仕事をやってはいるけど。それも、野球部の甲子園出場までよ」
「じゃあ、生徒会長の選挙になぜ興味を持ったの?」
「それがね、晶子。生徒会室でたまたま、明日発表される立候補者のリストを見たのよ。そしたら、澤本一樹の名前があったの」
「えーっ。一樹さんが、生徒会長?」
そこへ、話題の一樹がやってきた。だが、一人ではなかった。一樹の後ろに隠れるようにして、伊藤さちえがいた。
「あら、一樹さんに、さちえ。二人揃ってどうしたの?」
晶子が声を掛けた。
「やあ、お久しぶり」
一樹とさちえは晶子の前で立ち止まった.
「いま、わたしたち。一樹さん、あなたの話をしてたのよ。生徒会長の選挙に出るんでしょ?」
一樹はニコリとした。
「そう。晶子さんたち、情報が早いね。それで選挙当日は僕に清き一票をというお願いをしに来たんだ」
「まあ、気が早いわね。まだ、候補者の発表や選挙演説もされてないのに」
朋美がからかい気味に言った。
「そうだけど。やっぱり、選挙は有権者から見て候補者が信頼できる人柄かどうかということでしょう。その点、晶子さんや朋美さんには僕のことよく理解してもらえていると思うから。善は急げというわけで、立候補のお知らせとお願いに来たわけなんだ」
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