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(コツ...?)
後ろで聞こえた小さな音に反応し、ジグは音がした場所に振り向く。
しかしそこには何もなく、ただ岩肌が見えるだけ。
コツコツ...
今度は上から石ころが落ちてきて、ジグは上を見上げた。
「?? お、お頭...」
「ん、どうし...!?」
ジグの焦った声で振り返ったヴィアは、ジグも見ているであろうものを視界に入れた瞬間、固まった。
それは岩肌の崖の上からこちらを囲うようにして、赤い目を光らしてじっと見つめてくる、真っ黒なゴリラのような姿[コングマン]の群れだった。
見つめ合うこと数秒、群れの中心にいる一際大きなコングマンがゆっくりと口を開いた。
「人間、オレタチノスム山、荒ラシスギタ。モウ、限界」
「え、ちょ、お頭!あいつ喋ってる!」
「落ち着け。コングマンは人の言葉を話す事ができる動物だ」
そう説明すると、ヴィアは大きく息を吸った。
「コングマン達、私達は山を荒らしていない!それに、もうこの山を去る!」
そう叫んだ後、少ししてからコングマンが話し始めた。
「人間、オレタチ、アツメタ宝、全部奪ッタ。許セナイ」
「...それって」
「十中八九、あいつらの仕業だろう」
「モウ、限界。人間」
「お頭、俺の警戒センサーがやばいって言ってる...」
「私もだ。話も聞いて貰えなさそうだし...」
「喰ウ!!」
「っ!逃げるぞ!!」
ヴィアは少女を肩に担ぎ、2人は猛スピードで、追いかけてくるコングマン達から逃走を開始した。
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