ヤマブキの仕事

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ー春町・石野サイドー 「・・・実は、僕はその父に反抗しました」 「どういう事かな?」 「父は、数学教師である事を誇りにしています。そんな父は、僕に数学の成績を上げようとスパルタ式に教え込んでいました」 眼鏡の土を払いながら続ける。 「僕は、そんな教育に付いて行けなく、前の小テストで、適当な答えを書いて提出しました」 「それで?」 「父は僕を叱りました。でも、怒りの矛先は違っていたんです」 「矛先?」 「父は『うちの息子に限り、そんな事をするはずがない! きっとこれは宇都宮たちからのいじめによるものだ。』だと、昨日、宇都宮たちの親を呼びつけて、注意してしまったんです」 「しかも、その小テストは宇都宮たちの答案だけ、明らかに採点が厳しいように見えました」 「・・・・・・こんな言い方は良くないと思うけど、それって、ただのお父さんのエゴだよね?」 「そうなんです。僕も困っています。見ての通り」 石野君は自分の泥々の制服を指して言った。 「僕も悲しいんです。でも、こんな事になったのも僕がテストを適当にしてしまったから・・・僕も・・・悪いんです」
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