【第3話】埋めたい距離
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「……何笑ってんの?」 「別に?」 怪訝な顔をする羽村に答えて、俺は猪口を手に取った。 機嫌良く口に含んだ日本酒の香りが、ふわりと鼻から抜けていく。 またひとつ。 羽村のことを、知った。 ここに来ないと知ることができなかった、情報。 数ある中から俺に選んでくれた、猪口の美しさ。 そんな些細なことが胸を熱くしていくのを感じながら、俺はまた、小さく微笑んだ。 .
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