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「んー……、用は、ないな」
そう呟いて、ほうれん草を一口。
うん、やっぱり美味い。
ふと、恐る恐る、と言った様子で俺の方を窺っていた羽村の表情が和らぐ。
明らかに、ホッとしたような顔。
「だったら……」
何を言う気か、何となくわかる。
けど、最後まで言わせるつもりはない。
俺はさっき組み立てたシナリオに沿って、羽村に向き直った。
「でも、どーせ来ることになるんだから、最初っからここで飲んでた方が話が早いだろ」
「はっ?」
抜けたような声を出した羽村の顔で、俺の予想は当たっていたと理解する。
予定通りの展開に、俺は頬が緩むのを感じた。
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