【第3話】埋めたい距離

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  「んー……、用は、ないな」 そう呟いて、ほうれん草を一口。 うん、やっぱり美味い。 ふと、恐る恐る、と言った様子で俺の方を窺っていた羽村の表情が和らぐ。 明らかに、ホッとしたような顔。 「だったら……」 何を言う気か、何となくわかる。 けど、最後まで言わせるつもりはない。 俺はさっき組み立てたシナリオに沿って、羽村に向き直った。 「でも、どーせ来ることになるんだから、最初っからここで飲んでた方が話が早いだろ」 「はっ?」 抜けたような声を出した羽村の顔で、俺の予想は当たっていたと理解する。 予定通りの展開に、俺は頬が緩むのを感じた。 .
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