【第3話】埋めたい距離

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  けれど、目の前の羽村の構えた様子を見ると、どうこうしてやろうという気持ちが削がれていく。 硬く張りつめたような羽村を少しでもほぐしたくて、頭を撫でた。 「……んな、怯えんなって。とりあえず、飲もーぜ」 差し出した日本酒に、羽村は怪訝な顔。 何に対して怯えているのか……と考えてすぐに、いや、と気付く。 羽村が怯えているのは、俺に対して、か。 溜息が出そうになるのをぐっと堪える。 全部自分が蒔いた種、だ。 ただ……ほんの少しでいい。 俺と一緒にいる時間を、心地良いと感じて欲しい。 できれば、こうなる前の頃の、ように。 .
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