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けれど、目の前の羽村の構えた様子を見ると、どうこうしてやろうという気持ちが削がれていく。
硬く張りつめたような羽村を少しでもほぐしたくて、頭を撫でた。
「……んな、怯えんなって。とりあえず、飲もーぜ」
差し出した日本酒に、羽村は怪訝な顔。
何に対して怯えているのか……と考えてすぐに、いや、と気付く。
羽村が怯えているのは、俺に対して、か。
溜息が出そうになるのをぐっと堪える。
全部自分が蒔いた種、だ。
ただ……ほんの少しでいい。
俺と一緒にいる時間を、心地良いと感じて欲しい。
できれば、こうなる前の頃の、ように。
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