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「楽しまなきゃ損だろ。せっかく旨い酒と料理が並んでんだから、さ」
内心ドキドキしながらそう言った俺に、羽村は小さく頷いた。
「うん……」
羽村から、硬さが削がれていくのがわかって、一気に緊張がほぐれた。
思わず頬が緩んでいく。
あー、単純だな、俺は。
こんな小さなことで、ヒヤヒヤしたり、ホッとしたりして。
まったく。キャラじゃねーっつの。
そんなことを思っていたら、羽村がこっちをじっと見ているのに気がついた。
目が合っても、逸らそうとしない。
……何、考えてる?
その目の意味を知ろうと見つめ返しても、何も読み取れなかった。
不思議そうに、それでいて物怖じすることもなく、まっすぐ見つめてくる羽村。
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