【第3話】埋めたい距離

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  翌日。 いつも通りに出社して、仕事をしている隣の女に、俺はメールを送る。 『今日はどーする?』 『どうもこうもないわよ。帰る』 即座に断られたメールを見て、思わず笑いそうになった。 カラダは素直な反応を返すのに、心は違うようだ。 やっぱり一筋縄ではいきそうにない。 ……ま、想定内、だけど。 『じゃ、終わったら行く。今日は日本酒の気分だなー』 送った途端、隣からの視線を感じて俺は振り向く。 貼付けたように余裕溢れた、笑みを浮かべて。 羽村の顔が歪むのを見て、俺はさらに口角のシワを深くした。 嫌がっている顔さえ俺を喜ばせているって、お前が知ったらどう思うんだろーな? .
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