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……絶対、逃がさない。
眠る前のまどろんだ時間も。
抱きしめた腕の中のぬくもりも。
寝起きの無防備なその顔も。
全部、俺だけのものだ。
これが、歪んだ表現だということは理解していた。
他にもっとマトモな方法だってあっただろう。
でも、もう、遅い。
俺は、羽村が確固たる意志を持つ前に……
そう、戸惑って対処できずにいるうちに、俺といることを“習慣”みたいなものにしてしまおうと考えていた。
羽村が気付かないうちに、俺を刷り込んでやる。
絶対に、逃がしてなんか、やらない。
朝日を背にして、俺は決意を新たに歩き出した。
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