【第3話】埋めたい距離

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  食卓に並ぶメニューは、それはもう、幸せな匂いに溢れていた。 「おー、うまそっ! 羽村、わかってんね」 「……何が?」 「日本酒には、こーゆーアテだろ、やっぱり」 メインは、白菜と豚肉か? 漂う湯気まで旨味を感じるってすげーな。 お、豆腐の餡かけ、好きなんだよな。 ほっこりするっつーか、和むし。 それから、ほうれん草のゴマ和えか。 定番だけど、あると嬉しい惣菜だよな。 自然と顔が綻んで、ついはしゃいでしまった俺。 逆に羽村はまた少し、顔を歪めてキッチンへと戻って行った。 そんなに嫌か? 俺が、楽しそうにしているのが。 苦い思いがわき上がって、溜息を吐きそうになるのをぐっと堪える。 こうなってでも羽村を捕まえると決めたのは、自分だ。 これくらいで折れてたら、この先が思いやられる。 .
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