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食卓に並ぶメニューは、それはもう、幸せな匂いに溢れていた。
「おー、うまそっ! 羽村、わかってんね」
「……何が?」
「日本酒には、こーゆーアテだろ、やっぱり」
メインは、白菜と豚肉か?
漂う湯気まで旨味を感じるってすげーな。
お、豆腐の餡かけ、好きなんだよな。
ほっこりするっつーか、和むし。
それから、ほうれん草のゴマ和えか。
定番だけど、あると嬉しい惣菜だよな。
自然と顔が綻んで、ついはしゃいでしまった俺。
逆に羽村はまた少し、顔を歪めてキッチンへと戻って行った。
そんなに嫌か?
俺が、楽しそうにしているのが。
苦い思いがわき上がって、溜息を吐きそうになるのをぐっと堪える。
こうなってでも羽村を捕まえると決めたのは、自分だ。
これくらいで折れてたら、この先が思いやられる。
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