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「へえ」
俺に渡されたのは、深い青が印象的な猪口。
なめらかな手触りと、澄んだ色が綺麗だ。
羽村が自分用にと持ってきたのはカラフルなドットのグラス。
クリアなガラスにほんのり滲む色彩がいい。
色数の少ないこの部屋にもよく映える。
「綺麗な猪口だな」
しげしげと眺めている俺に、羽村は日本酒の瓶を持ち上げて微笑んだ。
「でしょ?」
その顔が何だか、得意げなのが気にかかった。
少しでも、羽村のツボをつくことができた、と喜ぶのは甘いだろうか。
単に、自分の選んだ物を褒められて嬉しいだけなのかもしれないし、な。
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