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「その件ならデータをサーバに上げてるから、確認しといてくれるかな?」
『わかりました。すみません、夜分に』
「いや、いいよ。他には?」
『もう大丈夫です。……あ、あと、先ほど小野さんからお電話がありました』
「小野さんから?」
『はい。小野さんも出先らしいので、連絡は月曜で大丈夫だそうです』
「そう、わかった。ありがとう」
『いえ。では、お疲れさまです』
「お疲れさま」
電話を切って、はた、と気づく。
……羽村がデータを届ける相手って、小野さんじゃなかったか……?
その小野さんが出先って……じゃあ、渡す相手は……?
途端に胸がざわついた。
決定的な何かがあったわけじゃないのに、この胸に渦巻く嫌な予感は何だろう。
口元を手で覆って考え込む。
もうひとつ、思い当たることがあった。
……あの案件、小野さんから神谷さんに担当変わった、って言ってなかったか?
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