【第5話】ひとりの夜

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  「その件ならデータをサーバに上げてるから、確認しといてくれるかな?」 『わかりました。すみません、夜分に』 「いや、いいよ。他には?」 『もう大丈夫です。……あ、あと、先ほど小野さんからお電話がありました』 「小野さんから?」 『はい。小野さんも出先らしいので、連絡は月曜で大丈夫だそうです』 「そう、わかった。ありがとう」 『いえ。では、お疲れさまです』 「お疲れさま」 電話を切って、はた、と気づく。 ……羽村がデータを届ける相手って、小野さんじゃなかったか……? その小野さんが出先って……じゃあ、渡す相手は……? 途端に胸がざわついた。 決定的な何かがあったわけじゃないのに、この胸に渦巻く嫌な予感は何だろう。 口元を手で覆って考え込む。 もうひとつ、思い当たることがあった。 ……あの案件、小野さんから神谷さんに担当変わった、って言ってなかったか? .
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