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いつもの部屋、いつもの夜、いつもの空気。
普段通りなのに、何かが足りない。
それは、羽村が隣にいる空気。
2本目の缶ビールも空にした俺は、冷蔵庫へと歩み寄った。
ドアを開けると冷えた空気が足元に流れてくる。
いくつか並んだ酒の缶から適当に1本取り出して、また部屋へと戻る。
羽村の部屋より深い色味の多い部屋。
濃いブラウンを基調とした家具が並ぶ。
小物に色を使うのが好きな性分が表れているのか、部屋にもアクセントに深い赤や濃紺、グリーンなんかを効かせている。
自分の好きなものに囲まれた空間は、落ち着く。
だけどやっぱり物足りない。
アルコールを喉に流しながら、はあ、と大きく息を吐いた。
さっきから、溜息ばかりが溢れている。
溜息を吐くと幸せが逃げる、とか言うよな。
だったら俺の場合、猛ダッシュで逃げられているってことか。しかも現在進行形で。
って何どーでもいいこと考えてんだろーな。
いつも以上に早いペースで飲んでいた俺は、あっという間に3缶目も飲み干した。
ただ、一人で飲むビールがこんなに味気ないとは、思いもしなかった。
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