【第5話】ひとりの夜

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  近頃何となく、羽村の様子がおかしい。 そう思い始めたのは、仕事が慌ただしくなった直後だった。 ボーッとしたかと思うと、何かを振り切るように仕事に没頭していたり。 難しい顔をしていることも増えた。 『どうかしたか?』と聞いても『何でもない』と言う。 ……そんな顔して何でもない、もねーだろ。 そう思ったものの、しばらく観察してみても、それ以上の情報は引き出せなかった。 お互い忙しくなっていたこともある。 まあ、別に気にするほどでもない、か。 なんて軽く思って、大した問題にしていなかった。 どうしてこのとき、気付けなかったんだろう。 既に最大の恋敵は、動き出していたのに。 .
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