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「……こんなんじゃ、酔えねーか」
以前買い込んでいた焼酎を取り出し、ロックで飲む。
ひとりきりの週末の夜は長く、いつも以上に冷え込んでいるように感じる。
自然と、心の中で、彼女を呼んでいた。
なー、羽村。
……じゃなくて。
ミオ。
普段は絶対に呼べない名前は、特別な響きを持っていて。
傍にいられる時間を期待した分だけ、ひとりの夜には切なさが募る。
思い浮かべた彼女の笑顔に、癒されながらも心がきゅうっと締め付けられる。
なあ、ミオ?
お前がいないと、夜はこんなにも淋しいものになるんだな。
自分から出たとは思えないほど女々しい思考に苦笑して、俺はまた酒をあおった。
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