【第5話】ひとりの夜

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  仕事に追われる日々を送ると余計に、羽村と過ごした夜が恋しい。 そうは思ってもなかなか上手く時間を作れずにいた。 それから数週間後の、夜のこと。 「……終わっ、たー……!」 ちょうどオフィスに戻ってきた俺が見たのは、羽村が思いきり伸びをしているところ。 微笑ましく思いながら、そっと買ってきた紅茶の缶を差し出す。 「おう、お疲れ」 「ありがとー」 体を起こした彼女はそれに手を伸ばし、表情を緩めた。 少しだけホッとする。 良かった、好みは外さなかったようだ。 まあ、よく飲んでるし、コレが好きなの、何となく知ってたけどな。 「頑張った、ご褒美な」 「……ありがと」 「おー」 喜んでくれたことに気を良くしていた俺の言葉に、羽村は何故か曖昧に笑う。 .
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