【第5話】ひとりの夜

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  今日は金曜日。 この後直帰するとして、羽村のことだ。 きっと飲みに行くか家で晩酌、といったところだろう。 ここしばらく飲みにも行けなかったフラストレーションが、俺を駆り立てる。 羽村と、飲みたい。 画面に映し出されているデータを見て、思案する。 仕事は……うん、まあ、集中してやれば数時間で片付くはずだ。 ……よし。 ふうっ、と息を吐き、姿勢を正す。 目標が出来ると、俄然仕事に熱が入る。 しばらくして隣の羽村が立ち上がり、三浦さんに声をかけた。 「じゃ、行ってきます。お疲れさまです」 「よろしくね、お疲れさま」 そう言って会社を出て行く彼女の後ろ姿を見て、俺はさらにのめり込むように画面に集中した。 .
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