【第6話】ひねくれた嘘

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  「ま、どっちでもいいか。羽村の場合、カラダに聞いた方が話が早いし」 「ちょっ……!」 慌てふためいたような羽村の反応に気を良くして、俺はにやりと笑う。 そういう面白い顔、他のヤツに見せんなよ? なんて思いながら。 「じゃ、夜にな」 そう言って仕事に戻ろうとした俺を、羽村が引き止める。 足を止め、彼女の方を振り返る。 羽村は少し俯き加減に、俺に訴えた。 「……ワインは、やだ」 何かを思い出すような羽村の表情に、嫌な予感が的中していることを悟る。 ワインを拒否した理由なんてどうでもいい。 今ここで、お前が“誰か”を思い浮かべたこと、そのこと自体が歯痒くて悔しい。 「……了解」 何とか絞り出した声を残し、俺はその場を去った。 .
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