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そんな幸せな日常が叶えばいい。
そういう時間を一緒に積み重ねていきたい。
堪えきれない笑みを必死に噛み殺して自分の部屋に入る。
いつも通りの空気が流れる、一人暮らしの男の部屋。
殺風景ではないにしろ、そこに温度はあまり感じられない。
一気に、現実に引き戻された気分だ。
「……突っ走り過ぎ」
想像だけで盛り上がれてしまう自分が可笑しくて、また俺は笑った。
まるで幼い頃に戻ったみたいだ。
どちらかというと冷めたコドモだったとは思うが、それでも自分の中に広がる想像の世界にワクワクしていた頃のこと。
「……さて、準備するか」
感傷的な自分を頭の隅に追いやって、会社へ行く準備を始めた。
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