【第8話】普通で特別な休日-1

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  まずは酒から選ぶか。 それに合わせて飯を何にするか考えよう。 まだ羽村からの返信はなく、俺は小さく溜息を吐きつつ、足を進める。 向かった先は、近くにある酒屋だった。 この店を見つけたのは、羽村の家に通うようになったことがきっかけだ。 初めて入った時は驚いた。 大通りにあるわけでも目立つ外観をしているわけでもなく、あくまで地元向けに営業しているように見えるわりに、品揃えがなかなか良いからだ。 そう広くない店内にはところ狭しと酒が並んでいるが、雑然としているわけではない。 何となく、店主のこだわりが見える気がする。 もうすぐ店に着く、というとき。 目の前に、見覚えのある後ろ姿を見つけて俺の心臓は大きく跳ねた。 .
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