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確かに、冗談のつもり、ではあった。
でもこんなこと、一度だって冗談でさえ言ったことはなかった。
やっぱり羽村は、何かが違う。
それが何だと問われると、明快な答えは出ないけど。
また大きく溜息を吐いた羽村が、ワインを自分のグラスに注いでいる。
それをぼんやり見つめながら、俺はもう一度、同じことを言った。
「なー、羽村ー」
「何よ?」
「一緒に暮らそーぜー」
「嫌だっつってんでしょ、酔っ払い」
スパン、と切れ味良く返される拒否。
欠片も相手にしていない態度。
あーあ、まったく。
最高に面白れーけど、意味を理解するとかなり最低だ、な。
俺はまた、声をあげて笑った。
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