【第9話】普通で特別な休日-2

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  「……ん……」 1時間にも満たない眠りから覚めたのか、わずかに目を瞬いた羽村。 その顔を覗き込んで、そっと尋ねてみる。 「……起きたか?」 「ん……」 小さく頷いた羽村が可愛くて、思わず手を伸ばす。 前髪を払い、そっと口付けた。 くすぐったいのか、羽村は小さく身をよじる。 拒否されなかったことにホッとして、俺は彼女に提案した。 「まだ日付も変わってねーし、飲み直しでもするか」 「んー……のど、乾いた……」 ぼんやり答える羽村の声はかさついていた。 落ちかけた瞼を何とか持ち上げようとしながらも、また布団にすり寄った羽村の頭をするりと撫でる。 「だろーな。最後、声掠れてたし」 そう言ってやると、途端に羽村の目はバチッと開いた。 .
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