【第9話】普通で特別な休日-2

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  ソファに体を預けると、ゆっくりと睡魔が忍び寄ってくるのを感じる。 「……このまま、寝そう」 何気なく呟いた俺に、羽村は「いや」と言って振り返る。 「アンタいつまでここにいるつもりよ?」 ……そんな言い方しなくても、と思う。 しかし羽村の方からしてみれば、仕方ないことなんだろう。 休日にずかずかと踏み込んだ俺のこと、なんて。 拗ねるような思考が止まらないのは酔っているからか。 ソファに身を任せている心地良さに、うっかり目を閉じてしまいそうになる。 「帰んの、めんどい……」 「わかるけどさぁ……明日仕事だし。着替えもないでしょーに」 溜息混じりで言う羽村の言葉を頭の中で咀嚼していたら……良案が思い浮かんだ。 俺はむくっと起き上がって、彼女ににっこり笑って見せる。 .
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