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「じゃ、荷物持ってくる」
「は?」
思いっきりしかめっ面をした羽村の顔を覗き込んで、小首を傾げた。
「俺、ここに住んでいー?」
羽村の瞳が一瞬見開いた。
……かと思うと、すぐに鋭くなり、そして大きな大きな溜息を落とされた。
「絶ッ対に、嫌」
それは、俺の期待を見事なまでに打ち砕く返答。
しかも彼女はそれだけでは終わらないと言ったように、顔を歪めて続けた。
「ホントに嫌。本気で嫌。……あーもう、面倒くさいなぁ。早く帰ってよ、酔っ払い」
……言い過ぎだろ。
ご丁寧にしっしっ、と犬を追い払うようなジェスチャーまで付けてくれた羽村。
それは酔った頭でも理解できるくらい、きっぱりとした拒絶だった。
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