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酔いが回っていたせいでもあるんだろう。
上戸に入ってしまっていたのが収まった頃、自然と滲んできていた涙を拭って俺は言う。
「はー、もう、最高。俺、女にこんな風に拒否られたの、初めて」
「……それはそれは。素晴らしいご自慢ですこと」
また頬を引き攣らせた羽村を見て、俺は笑う。
笑いながらも不意に頭を過ったのは、自分の変化に対する気付きだった。
つーか、こんなことを女に提案したこと自体、初めてだけどな。
過去に、付き合ってんだかどーだかな女に言われたことはある。
合鍵が欲しいだの、一緒に住みたいだの、って。
そんな要求に応じることは一度もなかったし、誰かと一緒に暮らすなんて論外だった。
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