【第9話】普通で特別な休日-2

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  酔いが回っていたせいでもあるんだろう。 上戸に入ってしまっていたのが収まった頃、自然と滲んできていた涙を拭って俺は言う。 「はー、もう、最高。俺、女にこんな風に拒否られたの、初めて」 「……それはそれは。素晴らしいご自慢ですこと」 また頬を引き攣らせた羽村を見て、俺は笑う。 笑いながらも不意に頭を過ったのは、自分の変化に対する気付きだった。 つーか、こんなことを女に提案したこと自体、初めてだけどな。 過去に、付き合ってんだかどーだかな女に言われたことはある。 合鍵が欲しいだの、一緒に住みたいだの、って。 そんな要求に応じることは一度もなかったし、誰かと一緒に暮らすなんて論外だった。 .
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