【第9話】普通で特別な休日-2

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  しばらくして、部屋着に着替えた羽村が戻ってきた。 テーブルを見て、「あっ」と声を上げる。 「料理、温めなきゃ」 「やっといた」 「えっ、ありがとう」 「おう。まー座れよ」 ポンポン、と俺の隣にあるスペースを軽く叩くと、羽村は頷いて冷蔵庫へ向かった。 俺と同じようにビールを取り出し、戻ってくる。 やっぱり隣に羽村がいると、おさまりがいい。 彼女はすぐにプルタブを開けて、一瞬何かを考えるような素振りを見せてから……俺に向き直って首を傾げた。 「えーっと、とりあえず……乾杯?」 「二度目の、な」 くすっと笑って、缶をぶつけ合った。 いつもならグラスを使う羽村が、「どうせ一缶だけだしね」と笑って直接缶に口をつけた。 .
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