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 タツオはうなずいた。格安ラブホの代わりのネットカフェでも我慢しなければならない。東園寺家の山荘から進駐軍の情報ネットワークに接続するのは危険だった。すぐにこちらの身元がばれてしまう。タツオがもつ最上位の進駐官アクセスカードは、その存在さえ知られていない。情報保全部の柳瀬波光(やなせなみてる)をあざむくのは痛快だが、ばれれば進駐官としては一生激戦地を転戦させられるだろう。こちらも命がけだった。 「タツオ、出して」  ジョージがカードリーダーをバッグからとりだした。カーキ色の軍装備品だ。ひとつ1000円もしないものだろう。コードをパソコンにつなぐ。タツオはアロハシャツの胸ポケットから、透明なクリスタルの薄片を抜いた。クレジットカード半分ほどの薄く透明な板だ。ジョージが受けとり、カードリーダーに挿(さ)した。なにも起こらない。タツオはいった。
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