【第10話】仮説と結論、その裏側

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  『自分に素直になるって、エネルギーいるもん』 そう言った羽村の真意は何だろう。 『……なのにその労力を惜しまないで、気持ちを伝え合った2人って、すごいなぁ、と』 その言葉に誰と誰を重ねているんだろう。 俺であればいい、と願うのは簡単で。 その妄想が現実になればいい、と望むのは無謀だ。 理由は簡単。 羽村は俺のことを、ただの迷惑なオレサマ、としか見ていない、から。 そんな風に、自虐的な言い訳を重ねては。 自分の心の痛みを和らげるように、記憶の中から希望を見出す。 俺の趣向を知って受け入れてくれること。 心が開いた気がしたあの夜のこと。 繋がっている時の甘い顔。 少しだけ意識してくれた瞬間。 ……そんな、小さな小さな希望の光をかき集めて、一体、何になるっていうんだろう。 「……知るかよ」 勝手に飛び出した淡い呟きは、軽い舌打ちにも、聞こえた。 .
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