【第10話】仮説と結論、その裏側

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  「……なのにその労力を惜しまないで、気持ちを伝え合った2人って、すごいなぁ、と」 羽村は、一体何を噛みしめているんだろう。 相手不在にも感じるその呟きに、言い様のない気持ちが膨らんでいく。 ……彼女の中にも、高井や宮野と同じような感情が、燻っているということなんだろうか。 だとしたら……その相手は、俺じゃないことだけは確かだ。 そしてその事実が、俺の心をまた、引っ掻いていく。 「……へえ」 何とか絞り出した微かな相槌に、羽村は体を起こした。 体勢を整えて、机に向かう。 「さて、仕事しよっかな」 「……ああ、そーだな」 話を畳んだ羽村に倣って、俺も自分のMacへと向き直る。 だけど心はざわざわと落ち着かないままだ。 集中なんて、到底できない。 羽村は……高井と宮野の関係を、一体何と、いや誰との関係を……重ねているんだろう。 .
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