1552人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
羽村の恋愛感情の矛先。
それは、普段は考えないようにしていることだ。
俺の都合の良い結論に行き着かない、ということが主な理由だが。
……神谷さんとはどうなっているんだろう。
あの日、俺が羽村の嘘を暴いた夜。
俺が誘いをかけない日には、神谷さんと飲みに出たりしているんだろうか。
それとも……もしかすると、家で?
俺を迎えてくれる時のように、料理を作って酒を飲んでいるんだろうか?
……想像だけで、苛立ちが募る。
自然とキー操作が荒くなっていくことに気付いて、キーボードから手を離した。
ふう、と大きく息を吐いて、冷静になれと自分に言い聞かせる。
たいていは片付いている羽村の部屋に、他の男の痕跡を見つけることはなかった。
ここ数週間の間に大きな変化は、特になかったと思う。
だから安心だ、とは言えやしないが。
.
最初のコメントを投稿しよう!