【第12話】意地と焦りと僅かな希望

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  「何飲む?」 という、羽村の声。 反応しようにも、俺はちょうど伸びをしている最中で。 俺の言葉を待ってくれているのを察しながら、ゆっくり腕を下ろして返事をする。 「寒かったからなー、熱燗か焼酎お湯割」 その返答に、羽村は「んー」と少し考えてから。 「じゃあ熱燗。私も一緒に飲むから」 そう言って、準備を始めた。 かちゃかちゃと、食器の重なる音がする。 そんな生活音にすらホッとするのは、彼女が傍にいる空気のせいだと思う。 レンジが稼働し始めた、とわかったのは、電子音のせいだった。 部屋には、俺がつけたテレビの音と、わずかなレンジの音だけが響く。 いままで何度か熱燗を二人で飲んだが、あるとき羽村は時折、レンジを使わずに鍋で温めることもあると話していた。 .
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