【第12話】意地と焦りと僅かな希望

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  邪魔するつもりなんて、なかった。 あの日以来、マトモに羽村と会話すらできない小さな俺でも、理解していた。 お前が神谷さんを選ぶなら、俺が何をしたって無駄だって、わかっていたから。 だから……土曜は大人しくしているつもりだった。 けれど、気になって気になって、仕方ない。 何とか紛らわせようと昼からビールをあおっても酔えなくて、もうどうしていいかわからなかった。 食いてーな、なんて思ったあの赤い頬を、神谷さんの前でも晒すのか? 俺だけが知ってる、あの甘い顔を神谷さんにも見せるのか? その柔らかな肌を、神谷さんにも触れさせるのかーーーー? 考えたくないのに、思考は途切れなかった。 イライラが募っていくのを止められない。 苛立ち紛れに手にしていたビールの缶を握りつぶす。 そんなことしたって、闇は晴れないのに。 力なく身を預けていたソファから立ち上がると、床に転がった空き缶を蹴ってしまった。 もう何缶目だろう、数えていないが冷蔵庫のストックは底をついていた。 .
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