【第17話】山場と衝突

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  「……僕は、決定したデザイン案の方が、より新ブランドのイメージを強めてくれると思いますよ」 固まっている場合じゃない、とばかりに俺は口を開いた。 もちろん、いつも通りに柔らかな笑みを浮かべることも忘れない。 ちらり、カメラマンの横で指示を出している羽村の方を窺う。 相手の視線もつられて移動し、それがまた俺の元へと戻ってきたのを確認してから、続ける。 「何より、ターゲットど真ん中の女性が作ったものですから。やはり女性にしかわからない感性もあるでしょうしね」 俺の視線はクライアントに向けられていた。 そう、この場で相手にするのは御園さんじゃない。 決定権を持つのはクライアントだ。 ここの考えさえブレなければ、何の問題もない。 狙い通り、彼らは俺の言葉に大きく頷いた。 「ですよね。もう撮影も始まってることだし」 「そうそう。それに決まった案は上の者が随分気に入ってるんですよねえ」 「それは嬉しいですね。羽村も喜びます」 ホッとしたように笑うクライアント。 にこやかに対応する俺。 御園さんが握っていた空気に、わずかな変化が見えた。 しかし。 「それでも」 遮ったのは、やはり彼女だった。 ぴたり、男たちの談笑が止まったのを見計らって、クライアントに向けて言う。 .
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