【第17話】山場と衝突

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  俺の答えが想定外だったのか、一瞬、彼女の表情が揺れた。 しかし、それで諦めてくれるほど、この担当者様は殊勝な女でもなかったらしい。 「ええ。でも、弊社のプリンタは色が悪くて……どうしても綺麗なものが欲しいんです。お手数ですが、お願いできますか?」 重ねての依頼に、俺は内心溜息を吐いた。 鳳凰堂のプリンタの問題は知っていたからだ。 ……早く直せよ、一流企業が。 心の中で悪態を吐きながら、仕方なく頷いた。 「……わかりました。また近いうちにお届けします」 「ありがとうございます」 ふわりと笑う御園さんは、少女のように声を弾ませた。 「ああ良かった、嬉しいです、本当に」 俺のデザインを大事そうに抱え、屈託なく微笑む彼女。 その行動に、表情に、悪意は何も感じられないのに……俺の胸に渦巻くもやもやは晴れない。 それはきっと、この裏側を想像してしまうからだろう。 最初の直感通りに、俺と同じタイプだとしたら……この笑顔の裏で、何を考えているかわかったもんじゃない。 もし、羽村に対する彼女の振る舞いさえなければ。 きっと、こんな些細なことにいちいち何も思わなかったことだろう。 まあ、だからといって、羽村の件がなかったら彼女に惹かれたかどうかについては…微妙、としか言ようがないが、な。 .
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