【第17話】山場と衝突

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  それから数日後。 バタバタ忙しい日々を抜け、ようやく撮影の日がやって来た。 早朝から集まったスタッフたちとの事前打ち合わせを終え、それぞれの持ち場につく。 羽村がメインで撮影を仕切ることになるこの現場で、俺はクライアント対応を任されていた。 正直、ホッとしていた。 今日この日を乗り切れば、後は作業の時間にあてられる。 あの御園さんという厄介な担当との折衝も少なくなるだろう。 羽村も宮野も自分の仕事に集中できるようになるはずだ。 そしてそれは、俺も同じ。 自分の担当案件に注力できるようになる、その山場だと考えていた。 活気と緊張感が漂うスタジオに、羽村の声が響く。 「すみませーん! その背景、もう少し右にずらしてもらえますかー?」 「はーい!」 その指示を受けたスタッフの動きを確認した彼女は、すぐに宮野の元へ。 「ユリナちゃん、資料準備できてる?」 「はいっ!」 「ありがとう」 宮野を労いながら時計を確認した羽村は、小さく溜息を吐いた。 それもそうだろう、クライアントの到着が遅れている。 だいたい、撮影のスケジュールは結構シビアに組まれているものだ。 ほんの5分、10分の遅れが、後々響いてしまうことだって多い。 「ちょっと表見てくるね」 そう言って出ていった羽村を見送り、俺は宮野に近寄った。 資料を確認し、どんな風にクライアントに説明するか、頭の中で組み立てる。 .
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