【第17話】山場と衝突

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  「ああーっ、なんか緊張しますぅ!」 朝からずっとそわそわした様子でいる宮野が隣で呟く。 俺は苦笑しながら彼女に笑いかけた。 「そっか、宮野は撮影は初めて?」 「見学は何度かさせてもらってるんですけどぉ……やっぱり違いますねぇ」 「なるほどね。でも大丈夫だよ、基本的には羽村が仕切るし」 宮野の仕事はおそらく、雑用的なことが多くなるだろう。 しかし担当として挨拶している以上、スタッフから何か尋ねられることもあるかもしれない。 「もし、わからないことがあったらすぐ聞いて。羽村が忙しそうだったら俺が対応するから」 「はいっ! 頑張りますっ!」 気合を入れ直すかのような仕草をした宮野が微笑ましい。 俺も最初はこんな風に、気を張っていたのかな、なんて思いながら「うん、頑張ろうね」と返していたら、出入り口から羽村の声が響いた。 「クライアント様入られまーす! 皆さん、集合お願いしまーす!」 はーい、という返事がスタジオ内の様々な場所から聞こえる。 全員が揃ったところで、羽村が間に立って全員の紹介をしていく。 何気なく、久しぶりに対面した御園さんの方をちらりと窺うと、目が合ってしまった。 彼女は瞬時にふわりと微笑み、軽い会釈をしてくれる。 無視するのもどうかと思い、会釈を返すとまたにっこり笑みを向けられる。 とても美しい笑みだ。化粧も髪も服装も完璧、申し分ない。 自分にだけ、こんな風に微笑まれたら、ころっと落ちる男も多いだろう。 ……が。 どこか、もやっとした気持ちになるのは、羽村とのことを知っているからだろうか。 .
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