【第20話】決別と、そして

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  ふと、羽村がぐっと唇を噛みしめた。 和やかに微笑み合っていたはずなのに、どうしたのかと思っていると、彼女はくっと顎を上げて俺をまっすぐ見つめてくる。 「……長瀬」 「ん?」 呼びかけられた声は、わずかに緊張を帯びていた。 向けられた視線に含まれた熱に、逸らすこともできない。 いや、逸らそうなんて思いはしなかった。 羽村とこうして目を合わせて、正面から顔を突き合わせているのは、いつぶりだろう。 きっとこれまではずっと普通にしていたこと。 だけどここ最近は全く、なかったこと。 こんなにも……大事にしたいことなんだと実感していると、羽村が一瞬顔を歪ませてから、頭を下げた。 「この間……、暴言吐いて、ごめん。八つ当たりだった。本当に、ごめんなさい」 .
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