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しまった、と思う。
詰めが甘いのは、やはり浮かれていたからだろうか。
せっかく久しぶりの時間だ、ちゃんと羽村の飲みたいものを選びたい。
彼女が作ってくれたものに合う酒で、二人の時間を楽しみたい。
羽村に、喜んでもらいたい。
そんな思いで、数々の酒が並ぶ棚を前にしても、何も選べなくなっていた。
今、羽村が作ってくれているものは何だろう。
一生懸命考えてはみるが、全然浮かびはしなかった。
羽村のレパートリーすべてを網羅しているわけじゃないから、仕方ないかもしれない。
……さて、どうするか。
ここで立ち尽くしていたって、何もならない。
俺は自分でもどこかおかしい決断だと理解しながらも、最善だと思われる方法で、この悩みを解決することにした。
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