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「……誰が飲むの? こんなに」
俺から酒の入った袋を受け取った羽村の第一声は、それだった。
俺は店での葛藤やら何やらが透けて見えたのかもしれないという気恥ずかしさから、素っ気なく返す。
「俺とお前以外に誰がいるんだよ?」
羽村は瞬時に顔をしかめて俺を見ている。
まあ、それも仕方ないだろう。
決めきれないからと、とにかく何が出てきても合わせられるようにと手当たり次第買い込んだ結果。
ビールに日本酒、焼酎、ワイン、ウイスキー、リキュールまで、多種多様な酒が詰まったずっしりと重い手土産になってしまった。
一応、どの種類の酒も銘柄だけは羽村の好みに合わせた、つもりだ。
それに気付いているのかいないのか、中を見た羽村が袋を持ち直し、俺に言う。
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