【第21話】取り戻した距離、踏み込めない溝

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  「だーかーら。羽村が何作ってるか聞いてなかったから、迷ったんだよ。どの酒が合うかわかんねーし、お前が何飲みたいかも思いつかねーし。考えんの面倒くさくなって目についたもん買ってきただけ。以上!」 「以上、って……」 言いたいことだけ言って、勝手に話を終わらせた。 面倒くさいとか、随分雑な言い方になったような気がする。 が、この会話を続けられると困る。 恥ずかしいっつーか、キャラじゃねーし、こーゆーの、無理。 戸惑っているのか何なのか、固まったままの羽村に歩み寄り、その手にある袋の中からビールを抜き取った。 「もーいいから早く食おうぜ。どれもこれも、すげーうまそう。最初はビールだな」 ソファへ戻り、料理を前にすると、顔がどうしてもニヤついてしまう。 見事なまでに、好物ばかりだったからだ。 俺が来るとわかっているとき、羽村はいつも数品作ってくれている。 が、今日はいつも以上に品数が多い。 .
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