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それから10日ほど経った日曜日。
眩しいほどに晴れた空の下、高井と宮野の結婚式当日を迎えていた。
たくさんの「おめでとう!」を受けた主役たちは、幸せそうに微笑んでいる。
フラワーシャワーをくぐり抜けるなか、二人が俺と羽村の前で足を止めた。
隣の羽村は手にした花びらを高く放り投げて、宮野に言う。
「おめでとう、ユリナちゃん」
「澪先輩……ありがとう、ございますぅ!」
泣き出しそうにも見える宮野は真っ白なドレスを身に纏い、太陽の光を受けてキラキラ輝いていた。
こんなに綺麗だったのか、と感心するほどだ。
俺も花びらを投げてから、まっすぐ背筋を伸ばして宮野を気遣う高井に声をかける。
「おめでとう、高井」
「ありがとうございます」
小さく会釈した高井は少しはにかんだ。
普段は見せない笑顔にこっちまでつられてしまう。
陽の光が差し込む教会の庭は、まるで絵画のようだ。
嘘みたいに美しいその世界で、確かな幸せが後輩二人を包みこんでいる。
みんなに祝福され、拍手を受ける二人を眺めていると、またふいに切なさがこみ上げてきた。
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