【第25話】これからも、の話

2/23
1186人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
  腕の中で、わずかに動いた体温。 俺の意識を引き戻したのは、その動きだった。 ……羽村、か。起きた、のか? そう理解しながらも、まだ、目は開けられない。 眠気もそうだが、この満たされた気分で抱き合う心地良さが勝った。 瞼に感じる明るい光。 もう朝が来てしまったようだ。 でも、まだ時間はあるんだろう。羽村がゆっくりしているのが、その証拠だ。 微睡みながら再び眠りに戻ろうとするの耳に、飛び込んできたのは小さな声。 「……ウソ、みたい……」 呟きと共に、細く小さな何かが頬に触れる。 羽村の指、だろうか。 その指先がくすぐったくて、思わず身じろぎしてしまう。 遠慮がちな触れ方に、戸惑いとは違う何かを感じた。 .
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!