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行きつけの酒屋に着くと、いつものルートで酒を物色する。
ワインコーナーにたどり着き、羽村と約束した赤ワインを選び、カゴに入れた。
その横で、汐さんも同じようにして時折唸りながら選んでいる。
「うーん、こっちだと重いかなー」なんて独り言をこぼしながら真剣な目をして。
その横顔が、羽村のものととてもよく似ていて、思わず淡く微笑んでしまった。
いつものように、と言うか、ある意味習慣みたいなもの、で。
あの酒屋に行くと、つい買い過ぎてしまう。
「すっごい量だね。長瀬さんも酒飲みなんだ?」
笑いながら尋ねてくる汐さんに、俺は頷く。
「そうだね、弱くはないと思うよ。汐さんは?」
「私もだけど、うちは家族みーんな酒飲みだからねー。おねーちゃんもすごいでしょ?」
「ああ……確かに。飲むの好きだよね、羽村も」
すぐに納得していると、彼女はまた満足げに笑う。
どうしてだろう、という謎はすぐに解けた。
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