1667人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
自信がない、訳じゃない。
でも、確信なんてものは、なかなか持てるもんじゃない。
現に羽村は、俺の存在を家族には話していない。
俺はどうなんだと言われると、元々没交渉なものだから、それが普通だと思っている、が。
これまで家族の話は何度か出てきている。
実際、これだけ仲の良さそうな姉妹なら、彼氏の存在となれば会話に出てきたっていいものだろう。
それでも言わないのには、何か理由があると思ってしまう。
あーあ、と大きく息を吐きながら、汐さんが進行方向へと体を戻す。
「まーた的外れな男だったらどうしてやろうかと思ったけど……違ったみたいで良かった良かった!」
繰り返し、「良かった」という彼女は本当に満足そうだ。
姉思いの、いい子だな、なんて思っていたら、汐さんはくるりとこちらを向いて、悪戯っぽく笑った。
「イケメンな顔、殴らずに済んで!」
「そっち?」
思わずツッコミを入れ、ふき出してしまった俺に、彼女も楽しそうに笑顔を見せた。
.
最初のコメントを投稿しよう!